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46話

まだ最終回来てないけど、一年オーズを見続けてよかったな、と今回素直に思いました。ずいぶん時間経ったのに、思い出すだけで自然に涙が出てくる。

放送日なのでたたんでいます。勢いに任せて非常にセンチメンタルな文章になっているのと、映画のネタバレを若干含みますのでご注意下さい。
一年をかけて描かれたアンクの時間は、クスクシエで過ごした日々と、映司や比奈ちゃんや知世子さんに大事に思われ、人間としての尊厳や一個の人格ある「自分」として認められることを欲した、あの瞬間のためにあったんだと思う。そしてあの一年間を、アンクがそれを欲したということを、映司がたったの一言で返したあの瞬間のためにあったんだと思う。人間はただ食べて見て触って聞いて味わうためだけに生きてるわけじゃない。人間は一人じゃ生きていけない。誰かとつながり、愛し愛されて、他人の価値を認め、自分の価値を認められ、受け入れ、受け入れられ、その上で何かを成し遂げることを欲するために生きてる。アンクはそのことに気付いてしまった唯一のグリードだったんだと思う。本当に欲しいのは、生物としての「命」じゃなく、人間としての「人生」そのものなんじゃないだろうか。単なる命だけが欲しいなら信吾さんの体じゃなくても達成できる。でも信吾さんの体じゃなければ、クスクシエで過ごしたあの一年間を味わい続けることができない。比奈ちゃんが暗がり座り込んでるあの姿のアンクを見て驚いたように、知世子さんがあの姿を見て「アンクちゃん」と声をかけたように、本来心と体はひとつのものだし、アイデンティティというのは外見を含めた固定された自己イメージであるはずで、アンクにはもはやあの姿以外の自分は自分ではないと思っているのかもしれない。42話ラストでガワにならずあのときのままの自分に擬態したときからそうなんじゃないかなとちらりと思ってた。アンクはもうすでにそこが人間なんだと思う。アンクは他のグリードと違って、自由に人間態の姿を選べなかった。ただそこにいた瀕死の人間に取りついただけ。人間も生れてくるときは容姿を選べない。でも大体の人間は気に入る気に入らない関係なく自分の姿を自分だと規定する。

そういう難しい話を抜きにしても、アンクはクスクシエで過ごした日々をあのままずうっと、映司くん比奈ちゃん知世子さんと一緒に過ごしたかったのかもしれない。初めての居場所、初めての友達、初めての家族、初めての楽しい時間だったんだもの。アンク、と呼んでくれて、頼んでもいないのに引っ張ってこられて、ご飯作ってくれて、ろくに答えもしないのに話しかけてくれて、いなくなったら心配されて、帰ってきてって言われて、そんな場所に、そんな時間に帰りたくないわけがない。

「この体、よこせ」と言ったときのアンクの表情は、もう比奈ちゃんの答えを分かっているかのような悲しいものだったけど、もしかしたら、いいって言ってくれるかなと思ったんじゃないかな。44話、山中でのアンクと比奈ちゃんが会話したときみたいに、もしかしたら自分の味方してくれて、自分を選んでくれるんじゃないかなって。「どっちかは帰ってくるかもな」っていうセリフの「どっちか」っていうのは映司とアンクのどっちかって意味だと最初思ったけど、アンクと信吾さんのどっちかって意味なのかもしれない。でもそれだと帰ってくる方は間違いなく映司にも比奈ちゃんにも選ばれた信吾さんになるわけで、選ばれなかったアンクは消える消えない関係なくここから立ち去るしかない。だから比奈ちゃんは泣いたのかな。お兄ちゃんの体をあげるなんて言えるわけないし、絶対そんなこと思えるわけもないけど、あれだけ一緒に過ごしたアンクに消え去って欲しいわけでもない。とても残酷な選択だと思う。

初めての家族、とか上で書いたけど、もしかしたら知世子さんはアンクや映司くんにとっての「初めてのお母さん」でもあるのかな。心配してくれてご飯作って来てくれて何も言わず見守ってくれて信じてくれて「いつでも帰ってきていいよ」って言ってくれるの、お母さんしかいないじゃない。映司くんが映画で「こういうの俺初めてだ」って言ってたのがどうにも心に引っかかって、映司くんて情緒が安定して見えるわりに家族愛にあまり縁のない人だったのかなと思ったのもあって、二人の中での知世子さんのポジションっていうのがなんかすんなり理解できた気がした。今後どうなるのかは分からないけど、もしあの状態の映司くんとアンクを救ってくれる人がいるとすれば、比奈ちゃんと知世子さん(と、あと会長)だと思う。メダルに全然関係ない人たちが。

アバンの映司くんが自分のグリード化に恐怖するシーンは本当に怖くて、かわいそうで、見ていられなかった。なんで「怖いんだ」って誰にも言わないんだよ!アンクが色んな意味で消滅しそうではあるけど、実は一番やばい状態にいるのは映司だと思う。映司は心が真っ二つに引き裂かれてる。人間らしい弱さと、大きすぎる欲望の二つに。グリードになるのが怖いのに、他のグリードを消滅させるために紫のメダルは使い続けたい。それどころか力をさらに欲し続けてる。このままで満足ということは、もう映司の欲望は誰にも止められないんじゃないだろうか。走り続けるだけことが目的のマラソンにはゴールがない。心臓が破れて死ぬまで走り続けるしかない。全グリードのコアを砕いたって、「世界を救う手を持ち続けたい」んなら戦い続けるためだけに新たな戦場を探すことになるんじゃないか?このことはどうやって決着をつけるんだろう。アンクは満たされて何かを諦める展開になりそうだけど、映司は生きるためには欲望を諦めざるを得ないのかもしれない。あるいは欲望を満たし続けるために生きることを諦めるのか。まさか無欲で穏やかなはずの映司にこんな展開が待ってるとは思いもしなかった…

それで海辺のシーンなんですが、アンクは映司にいったい何の用があったんだろう。「俺の欲望をかなえるためにお前を潰す」ことが用だったとは、何となく思えない。映司が怒って「まずベルト返せ」って迫らなければ、もっと違うことを言い出したのかもしれない。でも結果としては同じだったと思う。あんな風にずっとお互いがお互いを思ってたってことを感情むき出しでぶつけ合ったからこそ、映司くんは初めて自分の本当の気持ちを思い出せて、あの一言を言えたのかもしれない。アンクにだけ態度がぶっきらぼうだったり素っ気なかったり冷たかったりするのは、甘えてたからだったんだ、と思いました。アンクはどこか一線引きがちな映司が初めて遠慮なく接することができる相手だったんだと思う。アンクには自分が必要だってことが分かってたからこそ甘えられたし、そういう線引きをせずに付き合えたんだと思う。あんなに人によく笑って、人当たりもよく穏やかなのに、必要とされてる実感がないと甘えられない人だとは思わなかった。今までの映司くんの振る舞いを振り返るとすごく悲しい。

確かに「悪い」は言ったことあるけど、「ありがとう」は一度もなかった。そういう人間らしい思いやりを介さないところがこの二人だよなあ、と個人的にずっと思ってきて、その理由はアンクには言わなくても分かるはずだし言いたくないし言う必要もないと映司くんが思ってるからなのかなあと思ってたけど、それ自体がやっぱり甘えてるんだよね。アンクにしてみればそんな風に甘えられてるなんて思わないし必要とされてる実感もない。そもそも何考えてるかちっともわかんないし、こいつ何のために生きてんだろとしか思えないと思う。だから、「ありがとう」って言われたときにあんなに泣きそうになってたんだと思う。アンクにしてみればまったく予想もしてなかった言葉だったんじゃないかな。初めて自分の価値を認められて、必要とされて、受け入れられて、二人で過ごした一年間の意味を、映司がその一言で表現してくれた。「今まで一度も言ってなかった」の後でつかんでた映司の肩を少し持ち上げる動作とあの涙をためた目が、期待とか驚きとか信頼とか親愛とか、そういう万感の思いがこもっていて、声をあげて泣きました。自分の価値を映司が認めてくれたことで、アンクは満足してしまうのかな。アンクがあの顔をしてくれて嬉しかった。もしドクターが現れずあのままだったら、きっと二人の物語はそこで完結していたと思うくらいには。

ドクターにメダルを入れられたときと、紫の目のタトバになったとき、すごく心配してる顔で「映司」って言ったのが印象的でした。気持ちをぶつけ合って「ありがとう」を聞いたことで、アンクの立ち居地もまた変わったんだなとあれで思いました。映司は予告見る限り結局あんまり変わってない気がするけど…。

あの映司のグリード態はドクターのグリード態と違って知性のかけらもなくて、暴走プトティラよりさらに恐ろしかった。アンクのグリード態(完全体?)との姿勢の違いに…。アンクのガワ、造形と色が大好きなのでまた見られてうれしいです。しゃれにならないほど悲劇的なのにうっとりする。左右非対称なのはカザリのメダルが入ってるから?
ドクターはアンクを器にするのをやめたのか。45話でひとつ分からなかったセリフがあって、「これもオーズの作戦でしょう。失ったメダルは取り戻せますしね」っていうのがずっと気になってたんだけど、ドクターはあの短気を起こした行動から、いずれアンクがオーズ側に戻るのが分かったのだろうか。それにしても39話のアンクの悪夢は先のことを示唆してたんだなあ。紫目映司が「お前のメダルもらうよ」っていうところ、言葉はなかったけどもろ今回のシーンじゃないの?映司がドクターのメダルに操られてるとするなら、意識コアを砕いた上でメダルをすべて奪うはずで、来週どうなっちゃうのかなあ…。来週のサブタイが恐ろしい。でも視聴者としてはただみんなが幸せになれるように祈るだけです。

あ、それとウヴァさんのことですが、もしかしたらほんとに生き残るかもーと思いました。ウヴァって他のグリードみたいに「愛されたい」欲望はなぜか持ってないよね。なんかシンプルっていうか五感が鈍くても愛情を求められなくても気にしなさそうというか…。アンクとはまた違った意味で満足できる方法を見つけそう。

ガメルの最期とか火野さんへのお届けものの正体とか伊達明リターン!とか邪魔してすみませんでした(テヘペロ)とか後藤さんのかっこよさとか書き忘れたことたくさんあるんですが、後日追記します。
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